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「いや別に忙しいこともありませんですよ」
「いやあ、もう沢山ですなあ。さつきはどうも照れ臭くつて弱つたぢやありませんか。何と云つたつて、皆に顔を見られるんだから、たまつたもんぢやない。あんなに弱つたことは生れてからはじめてですよ」
「どなたか知りませんが、この男が御騒がせしたさうで、御無礼でした」
「うむ、うむ」
「どこの訴訟だ。なに鍵屋、うん、相沢か」
「やあ、今晩は」
「坑には入つてみたんかね。あすこはもう何年も入つた人がないちふことだが」
「え?いや、居ましたよ、居ましたけど、別に――」
「いや、そんなこたあ、――そんなこたあしませんよ」
根津はだまって答えなかった。その翌日、彼は城外で戦死した。
「あら!いらつしやいませ。ようこそ。――ほんとうに、よくまあ!」