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「あんたも、おめでたいさうで」
「何かね、わしがどうしたといふんかね」
「入りましたよ。それがねえ、穴の中は苔が生えたやうな、水たまりもあつてね、やつとこさ奥まで行つてみたんだが、まはりの土はぼろぼろ落ちるし、何のことはない洞穴でさあね、――それでも連中はあつちこつち突ついてみてたがね、含有量はまあもつと試掘してみなけりや判らんさうですよ」
「やあ。――こちらへ」
しばらく黙つていた後で、房一は
「馬子まごにも衣裳つて云ふから――」と云つたほどである。
「ふん。何でもありやせんよ。大方、腹でも痛かつたんだらう」
笹の葉の下から現れたのは頭から尾まで黒々と廻り、全体に円味がつき、所々の鱗が金色に光つていた。
「まさか!」
気の毒であるから、風呂はわかさなくともいいぜ、と高橋に云うが、彼も私を気の毒がっているらしく、たいておく。親切はありがたいが、気の毒がられるのも、つらい。思うように仕事ができないと、フロたきの人たちに悪いような気持になるので、かえって負担になることがあった。
「はあ――ふむ、うちへもかね」
「さうか。うちの方では山車だしを引いて出るさうだ。それから、みんな紋付に羽織袴といふことだの」
そして、少し横手に身をひきながら、しげしげと房一を眺めた。感慨無量、と云つた態ていであつた。