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尿には蛋白質はなかつた。排便を顕微鏡でのぞいてみた。いる、いる。蛔虫に十二指腸虫の卵がうんとこさ見えた。
「さうぢや」
「あれらしいのよ」
「よろしい。承知した」
と、盛子が傍から又さつきのをかしさを思ひ出したらしく、そつと注意した。
房一は手足を洗ふと、簡単に診察着をひつかけて表へ廻つた。
「はあ、どうも」
「ふむ、もうよろしい、よろしい」
別に会ふ気がなかつたから、と云ふ代りに、
房一はいかにもそれがやり切れない、と云つた風に吐き出すやうに云つた。つゞけて、
「まあ、のみなさい」
「それで、何かね。ドイツ兵は徒歩てくで通るんかね」